「60Wって、実際どれくらい発電できるんですか?」——最初のつまずきはだいたいここですよね。
スマホは何回充電できるのか、くもりの日はどれだけ落ちるのか、ベランダでもちゃんと使えるのか、そしてUSB/PDやポータブル電源の“つなぎ方”は合っているのか…不安がいっぺんに来ます。
本記事は、そのモヤモヤを数字と手順でスッキリ可視化します。晴れ/くもり/季節差の目安、回数換算、最短の接続方法、置き方のコツ、買う前のチェックまで、ぜんぶ“今日から発電”できるレベルで整理します。
60Wで何がどれだけ充電できる?“数字の見える化”
携帯用60Wは、晴れで実力30〜40W前後、くもりで5〜15W程度が目安です。
正午まわりに“稼げる時間”が季節で約2〜4時間あると考えると、1日の発電量はだいたい次のイメージになります

| 条件 | 発電量(平均出力×時間) | 得られる電力量 | スマホ充電回数(1回=12〜15Wh) | モバイルバッテリー充電(10000mAh ≒ 37Wh) | 3Wランタン使用時間 |
|---|---|---|---|---|---|
| 野外・晴れ・角度最適 | 35W × 3時間 | 約105Wh | 約7〜9回 | 約2回弱 | 約30時間 |
| ベランダ・晴れ・部分影あり | 20W × 3時間 | 約60Wh | 約4〜5回 | 約1回+α | 約20時間 |
| くもり | 8W × 4時間 | 約32Wh | 約2〜3回 | ― | 約10時間 |
計算はシンプルです。
発電量(Wh)=その日の平均出力(W)×発電できた時間(h)
回数=発電量(Wh)÷機器の必要量(Wh)(例:スマホ12〜15Wh、10000mAh≒約37Wh、3Wランタン=3Wh/時)
ここで差が出るのがベランダと野外です。ベランダは柵・物干し・壁の**“一本影”が落ちやすく、出力がガクッと落ちます。さらに南向きでない・空が狭い・ガラスや金属の反射で内部影**ができる、などの要因で平均Wが下がりがちです。野外は空が開け、角度調整もしやすいので平均Wを上げやすいです。
- 正午前後に影ゼロの場所へ(手やロープの細影もNG)。
- パネル面が太陽にできるだけ直角になるよう角度調整。
- USB電力計やポタ電の入力Wを確認→30分測ってW×時間でWhを概算。
- 場所・時刻・雲量・外気温・測定器をメモし、あなたの環境の“係数”を掴みましょう。
つなぎ方の基本:USB/USB-C PD/DC/MC4とポタ電の相性
結論はシンプルです。最初は“USB出力つきパネル”で直充電、慣れたらポータブル電源(以下ポタ電)に入れる、この二段構えがいちばんラクで安全です。端子は「名前=役割」で覚えると迷いません。USB/USB-Cは小物直充電、DC/MC4はポタ電やDC機器向け、が基本線です。

まずは“直接USB出力”対応がラク
USB口が本体にあるパネルなら、スマホ・ライト・モバイルバッテリーに直差しでOKです。USB-C PD(Power Delivery)は機器同士が自動で電圧交渉するので、過電圧になりにくいのが利点です。
ポータブル電源へ入れるときの入力電圧とコネクタ
ポタ電に入れるときは、仕様の3点チェック(入力電圧V/最大入力W/端子形状)が鉄則です。60W級パネルは「18V系(開放電圧Voc 20〜24V前後)」が多いので、ポタ電の“ソーラー入力上限V”未満であることを確認します。
ケーブル長さ・太さ・変換プラグの選び方
電気はケーブルでロス(電圧降下)します。短く・太く・接点少なくが基本の三原則です。

迷ったら「小物はUSB直、貯めたい日はMC4→ポタ電」。この二刀流で安全・確実・再現性が出ます。次章の“置き方”を合わせると、同じ60Wでも体感の伸びが変わります。
失敗しにくい購入チェックリスト&コスパ基準
実測30W台が出れば優秀:レビュー確認ポイント
60W級の携帯パネルは、晴天・正対で実測30W台が出れば上出来と考えてOKです。レビューを見るときは「一瞬のピーク」ではなく平均Wを優先で読み解きます。
端子・防水・付属品・収納の評価基準
使い勝手は端子×耐候×付属で決まります。下を“◎○△”で自己採点してください。
価格帯と保証:どこで線を引く?
相場感は1万円台〜2万円台(60W折りたたみ)。迷ったら“実測Wあたり単価”で冷静に比べます。

実測30W台・PD搭載・IP65・必要ケーブル同梱・実測W単価が低い・保証12カ月以上――この6点が“後悔しにくい線引き”です。
シーン別セット例と“1日の使い方”ルーティン



ソロキャンプ/車中泊/ベランダのセット例
「これ+これ+ケーブル◯m」で迷いを消します。用途別の“そのまま真似”セットです。
- ソロキャンプ
60Wパネル+PD対応モバイルバッテリー1〜2万mAh(≈37〜74Wh)+USB-Cケーブル1.0–1.5m。
できること:スマホ2〜6回/LEDランタン長時間。
合計1.5〜2.5万円。 - 車中泊
60Wパネル+小型ポタ電240〜300Wh+MC4→8mm or DC5521ケーブル3m。
できること:スマホや小型家電を昼充電→夜に使用。
合計4〜6万円。 - ベランダ
60Wパネル+PDモバイルバッテリー(できれば2台)+MC4→DC変換1.5〜3m。
運用例:昼に貯めて夜はWi-Fiルーターや照明の一部をバッテリー給電。
合計1.5〜3万円。
5ステップの毎日運用
“朝→昼→夕→夜→収納”の固定ルーティンにするとミスが激減します。
- 朝:影ゼロの場所に設置。端子の乾拭き→接続。
- 昼:正午まわりで角度を微調整、入力Wを確認(上がる方向が正解)。
- 午後:太陽にあわせて南西へ15〜30°ゆっくり振る。風があれば重しorペグ。
- 夜:貯めた電力をスマホ・照明・通信など“生活必須”から優先使用。足りなければ翌日に回す。
- 収納:端子を外し乾拭き→折りたたみ→日陰保管(高温車内は避ける)。
安全と注意:雨・直列/並列・高温保管のリスク
雨天とIP等級:どこまでOK?
多くの携帯パネルはIP65前後で“小雨の飛まつに強い”レベルです。端子部(USB・DC・MC4接続部)は別物で、水が入るとショートや腐食の原因になります。
直列/並列は“慣れるまでやらない”理由
直列=電圧アップ、並列=電流アップ。数字が上がるのは事実ですが、ポタ電の入力上限V/A超えや、パネルの不揃いで逆流・発熱が起きやすくなります。保護部品(ヒューズ・逆流防止)や同一仕様の厳守が前提なので、最初は1枚運用が安全です。
高温車内・取り扱い・保管のコツ
炎天下の閉め切り車内は高温になり、パネルの接着・布地・コネクタの劣化が早まるほか、バッテリー(ポタ電・モバイルバッテリー)は発火リスクが上がります。

迷ったら「濡らさない・増やさない・熱くしない」。この3つを守るだけで、事故予防と寿命延長に効きます。
よくある質問
- Q60Wでスマホは何回くらい充電できますか?条件次第ですが目安はこんな感じです。
- A
条件次第ですが目安はこんな感じです。
※あくまで目安です。影・角度・気温・機器効率で上下します。
- QUSB-C PDじゃないと使えませんか?
- A
USB-Aでも充電は可能ですが、日射が揺れると開始→停止の反復が起きやすいです。USB-C PD対応だと機器同士が電圧を自動調整して安定しやすく、迷ったら「パネルのPD→(必要なら)モバイルバッテリー→端末」の順がおすすめです。
- Qポータブル電源につなぐ時のチェック項目は?
- A
次の3点セットを必ず確認してください。
迷ったら直列・並列はやらないのが安全です。
- Qベランダでも効果はありますか?
- A
使えますが、手すりや物干しの“一本影”とガラス・金属の反射で出力が落ちやすいです。南向き・影ゼロ・落下防止がコツ。共用部ルールもご確認ください。
- Q雨の日はどう運用すればいいですか?
- A
多くはIP65前後で飛まつには強いものの、端子部は水厳禁です。濡れたら電源を抜く→拭く→乾かす→再接続。基本は雨天運用を避けるのが安全です。
- Q角度と向きの目安を教えてください。
- A
基本は南向き。角度の目安は、夏10〜20°/春秋30〜35°/冬50〜60°。正午前後に棒の影が真下になるよう合わせると近づきます。30〜60分ごとに少しずつ南西へ振ると平均Wが伸びます。
- Q出力がフラついて充電が止まります。対策は?
- A
日射変動やPDの再交渉が原因のことが多いです。
- Qケーブルや変換は何を選べばいい?
- A
目安はこれです。
- Q購入時の“ハズさない基準”は?
- A
次の6点を満たせば後悔しにくいです。
- Q高温や保管で気をつけることは?
- A
炎天下の車内放置はNG。接着や布地が劣化し、バッテリー類は発火リスクも上がります。運用中は背面に風の通り道を作り、保管は日陰・乾燥・平置き。濡れたまま収納しない、直列・並列は慣れるまでやらない、この3点を徹底してください。
