出先でPCの電池が赤くなって、「小型のAC付きモバイルバッテリー買えばOK?」って迷われませんか。ですが、何ワット要るのか、mAhとWhのどっちを見るのか、飛行機に持ち込めるのか—ここがごちゃっとして決めきれないんですよね。さらにPSEとか正弦波とか、聞き慣れない言葉まで出てきて、「USB-C直挿しで足りる? それともAC口が必須?」と不安が雪だるま。結果、動かない/重すぎる/充電が遅い/空港で止められる…みたいな失敗が起きがちです。
本記事では、このモヤモヤを数値(W/Wh)とシンプルな判断フローで解体し、“あなたの機器で本当に使える小型モデル”を迷わず選べるように整理していきます。
まず失敗しない「必要ワット数」と「容量」の決め方
「このバッテリーで本当に動く?」を先に数字でハッキリさせます。ポイントは必要ワット数(W)=動かす力と、容量(Wh)=どれだけ持つかの2本柱です。Wは“足りないと動かない/充電が進まない”原因に、Whは“持ち時間が短い”原因になります。ここでは編集部の目安と公式の計算式を分けて示すので、サクッと当てはめてください。
用途別の必要W数の目安(スマホ/タブレット/軽量ノート/カメラ/ゲーム機)
まずは“足りる/足りない”の線引きをつくります。下はあくまで目安ですが、買う前の初期判定に十分使えます。
| 用途 | 目安W数 | 主な給電口 |
|---|---|---|
| スマホ | 18〜30W(高速充電対応端末は30W級推奨) | USB-C(PD/PPS)、USB-A(QC) |
| タブレット | 20〜30W(iPadは20W〜30Wが一般的) | USB-C(PD) |
| 軽量ノートPC | 45〜65W(超軽量なら45W、余裕を見るなら65W) | USB-C(PD 45/60/65Wプロファイル) |
| カメラ充電器 | 10〜18W(5V/2A〜9V/2A相当) | USB-C(PD)、USB-A |
| ゲーム機(Switch) | 18〜30W(携帯モード)39W(TV出力/ドック) | USB-C(PD、15V対応でドック動作可) |
- 機器の「純正アダプタのW表記」or 仕様の「入力◯V/◯A」を確認
- モバイルバッテリーの最大出力W(USB-C or AC)と一致以上を選ぶ
- “ギリ足りる”より少し余裕ありを推奨。
容量の考え方:mAhとWh、何が違う?
mAhは“電池の量を電流ベースで表現”、Whは“その量を電圧込みで表現”です。航空会社や安全基準ではWhが基準になるので、最終的にWhで把握しておくのがラクです。
式:Wh=V×Ah(mAhは÷1000してAhに)
例:10,000mAh(=10Ah)×3.7V ≒ 37Wh

- 製品箱や仕様にWhがあればその値を
- 無ければ「mAh÷1000×公称V(多くは3.6〜3.7V)」で計算
- “必要な持ち時間”に足るかを見ます。
「小型」の具体的基準と妥協点(長辺/重さ/容量)
持ち歩き前提なら、“小型”の基準はこのくらいでしょうか?
- 毎日のバッグに入る最大サイズは?
- 実測で“500g超”を許容できる?
- USB-C直挿しで足りる機器が何台ある?
ここでYesが多いほど“軽め・USB中心”、Noが多いほど“ACあり・高出力寄り”が向いています。
安全性とルール:PSE/正弦波/機内持ち込み
買ってから「動かない・止められた・危なかった」は避けたいですよね。ここではPSE(日本の電気安全マーク)、AC出力の波形、飛行機への持ち込みルールを、チェックリストで一気にそろえます。

PSEマークの確認ポイント
PSEは「日本で安全面を満たしていますよ」という目印です。2019年以降、モバイルバッテリーはPSE対象で、基本はPSE無し=日本国内販売NGです。

偽表示リスクもあるので、国内正規流通・レビューの実写写真まで確認してから購入するのがおすすめです。
AC出力の波形(正弦波/疑似正弦波)の違い
AC付きモデルは「正弦波」か「疑似正弦波(修正正弦波)」で性格が変わります。
- 正弦波
家庭コンセントと同じ形の波。相性トラブルが最も少ない。音響機器・一部充電器・医療/計測系はこれを推奨。 - 疑似正弦波
階段状の波。軽量・安価になりやすい一方、機器によってはノイズ・発熱・コイル鳴きが出ることも。
- ノートPCやカメラの純正USB-C充電が使えるならUSB直挿し(ACを経由しない)
- 専用ACアダプタ必須や音に敏感な機器は正弦波を優先。(迷ったら正弦波寄りが安全)
飛行機持ち込みの考え方:Wh表記と各社の目安
飛行機はWh(ワット時)でルールが決まります。まずは箱や本体のWh表記を確認、無ければ「mAh÷1000×3.6〜3.7V ≒ Wh」で計算します。

端子は絶縁カバーやテープで保護、個数や国際線/国内線の微差は各社サイトで最新を確認。パッと見でWhが分かる写真をスマホに保存しておくと、保安検査で説明しやすいです。
充電時間と同時充電を短く・快適にするコツ
「速く満タン」「同時にガシガシ給電」を決めるのは、ほぼ本体の“入力W数”とつなぎ方です。ここだけ押さえれば、待ち時間はグッと短くできます。
入力W数を見る:30W/45W/65Wでどう違う?
モバイルバッテリーの箱や仕様にある入力(Input)◯Wが“自分を充電する速さ”です。
例として20,000mAh ≒ 約74Whなら、

買う前に「入力30/45/65Wのどれ?」を確認→充電器とケーブルも同等Wに合わせるとボトルネックを消せます。
USB-C PD/PPSを使える機器は“直挿し”優先
PD(Power Delivery)/PPSは、機器と相談して最適な電圧・電流を決める仕組みです。

ノートPC・タブレット・スマホがPD/PPS対応ならUSB-C一択/専用ACアダプタ必須の機器だけAC口を使う。高出力時はE-Marker入り対応ケーブルも忘れずに用意してください。
便利機能で差が出る(パススルー/残量%/ケーブル内蔵/ゴム足/スタンド)
細かいけど有効な機能が多いです。
シーン別セット例&判断フロー
迷ったらこの3パターンを丸ごと採用してください。荷物の重さ・作業時間・電源の有無で、最短ルートで決められます。
1泊出張:20,000mAh・AC 65W・〜500g
ホテル&移動中でPCをしっかり動かしたい方向けです。AC 65Wがあると、専用アダプタ必須の機器にも広く対応できます。

飛行機利用ならWh表記を写真で控える/ホテルの机で滑らないゴム足が地味に便利です。
カフェ作業2〜3時間:10,000〜15,000mAh・USB-C 30W中心
軽さ最優先。USB-C直挿しでロスを減らし、ACは基本使いません。

PCが30W充電で保つ作業か(文書・ブラウジング中心)を事前に確認/残量%表示モデルだと帰り際の不安が減りますね!
停電の備え:≥20,000mAh+ライト付き・ACは保険
まずは照明と通信を確保。ACは充電器や小型家電の“保険”として考えましょう。

高出力家電(ドライヤー/ヒーター)不可が基本/換気・発熱に注意し、長期保管はで涼しい場所に保管しましょう。
判断フロー:「USB-Cでいける→AC不要」「特殊ACアダプタ→AC付き」
迷ったらこのYes/Noだけで決めてOKです。
- PC/ゲーム機/カメラがUSB-C PDで充電できる?
- Yes → USB-C中心モデル(30〜65W)で軽量化。
- No → 2へ。
- 専用ACアダプタ必須?(角型端子・独自電圧など)
- Yes → AC付きモデル(正弦波推奨)。
- No → USB-C中心で十分。
- 持ち時間は?
- 2〜3時間 → 10,000〜15,000mAh
- 半日〜1日 → 20,000mAh前後

最後に本体“入力W数”を確認して、同等Wの充電器+対応ケーブルをそろえれば、実運用での“待ち時間”と“動かない問題”をかなり潰せます。
使い方とメンテナンスで“持ち時間”を最大化
買って終わりじゃないです。ちょっとした使い方と保管のコツだけで、体感の“持ち”はしっかり伸びます。むずかしい操作は不要なので、今日からサクッとやってみてください。
省エネ設定(画面輝度/節電モード/不要アプリ停止)
一番の電気ドロボーは画面の明るさと“動きっぱなしのアプリ”です。まずは端から潰しましょう。
長期保管のコツ:残量40〜60%で涼しい場所
リチウムイオンは高温と満充電/空っぽの放置が苦手です。長く使うための“置き方ルール”を固定化しておきましょう。
真夏の車内放置NGほか注意点
発熱は寿命だけでなく安全面にも直結します。基本は「熱をこもらせない」ことです!

この5つが回っていれば、同じバッテリーでも“体感の持ち”はしっかり変わります。
- 画面は40〜60%?
- 省電力モードON?
- 不要アプリ停止した?
- 高出力ケーブルを使ってる?
- 保管は40〜60%で涼しい場所?
よくある質問
- Q「小型」ってどのくらいまでを指しますか?
- A
長辺15cm以下・重さ〜500g・容量10,000〜20,000mAhを目安にすると持ち歩きやすいです。AC口付きは回路が増えるぶん太りやすいので、同容量ならUSB専用より少し重めになります。通勤カバンに入れて毎日OKかで判断すると失敗しにくいです。
- QノートPCを動かすには何ワット必要ですか?
- A
まず純正アダプタのW数を見てください(例:65W)。モバイルバッテリー側は同等以上を選ぶのが安全です。薄型なら45W前後、パワフル系は65Wが目安です。ギリより少し余裕を持つと安定します。
- QmAhとWhの違いは?換算はどうする?
- A
Wh=V×Ahです。mAhは“÷1000”してAhに直します。
例:10,000mAh×3.7V=約37Wh。飛行機や“持ち時間”の比較はWhで考えるとラクです。
- Q飛行機に持ち込めますか?
- A
目安は100Wh以下=可、101〜160Wh=要承認で多くは2個まで、160Wh超=不可です。基本は機内持ち込みのみ(受託手荷物NG)。
端子はテープで絶縁、本体や箱のWh表示の写真をスマホに保存しておくと検査がスムーズです。
最終ルールは利用航空会社の最新案内をご確認ください。
- Q正弦波じゃないとダメ?
- A
正弦波は家庭コンセント同等で相性トラブルが少ないです。疑似正弦波は軽くて安い反面、機器によってはノイズや発熱が出ることがあります。専用ACアダプタ必須・音にシビア・医療/計測系は正弦波推し、USB-C充電できる機器はそもそもACを使わない運用が安定です。
- QUSB-C PDとAC口、どっちを優先すべき?
- A
PD/PPS対応ならUSB-C直挿し優先です(DC→DCでロス少)。AC経由はDC→AC→DCの二重変換でムダと発熱が増えます。専用アダプタ必須の機器だけAC口を使う、が基本の型です。
- Q本体の充電時間はどれくらい?
- A
目安は充電時間 ≒ 本体Wh ÷ 入力Wです。例:20,000mAh(≈74Wh)なら、30W入力→約2.5時間、45W→約1.6時間、65W→約1.1時間(実運用はロスで+20〜40%見込み)。充電器とケーブルも同等W対応をそろえると“詰まり”が消えます。
- Qパススルー(充電しながら給電)は安全ですか?
- A
機種対応なら使えますが、発熱増・出力低下が起きやすいです。長時間の高負荷や就寝中の放置は避け、風通しの良い場所で使ってください。必要なときだけのピンポイント運用が安心です。
- QSwitchやカメラはどう使えばいい?
- A
SwitchはUSB-C PD対応なので、PD出力対応のCポートでOK(ドック運用は別途要件あり)。カメラは本体USB充電対応ならC直挿し、専用充電器のみならAC口を使います。型番ごとに必要電力が違うので、純正アダプタ表記を一度チェックしてください。
- Qバッテリー寿命を伸ばすコツは?
- A
高温回避と中間残量保管(40〜60%)が効きます。真夏の車内放置はNG、保管は涼しく乾いた場所で。3か月に一度は軽く追い充電、異臭・膨らみ・異常発熱を感じたら即使用停止→メーカー案内に従ってください。ケーブルは**E-Marker入り(最大5A)**を使うと電圧降下が減り、実効効率も上がります。
